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薬剤師・国際中医師 大串 一稔

漢方薬シリーズ その163 「アトピー性皮膚炎」

 アトピー性皮膚炎は、外部環境、ストレス、疲労、食事、ホルモンバランスや月経など、様々なことに影響されやすいため、なかなか手強い疾患です。漢方的にみるとその発症の根幹は、気・血・津液・精などの正気が不足することにより、皮膚バリアが低下したために、暑さ、寒さ、乾燥、湿気などの環境の変化やハウスダスト、食物などのアレルゲンに反応しやすくなることと考えられます。
 この場合、根本原因である正気の不足を補うなどの治療を「本治」、アレルゲンなどにより誘発・増悪した症状を抑える治療を「標治」といいます。
 「21才のA君、以前から軽度のアトピー性皮膚炎だったが、7年ほど前から悪化。身体のあちこちの皮膚が赤く腫れ、乾燥・痒みが強い。搔くと出血しやすくカサブタになる。喉が渇いて冷たい物を好む。やや疲れやすく、食後眠くなりやすい。皮膚症状は、温まったときや睡眠不足、疲労で悪化しやすい。」といった症状でした。「脾気虚弱」と「血虚血熱」が併存していると考え、「標治」と「本治」の観点から参苓白朮散と温清飲を服用して頂くことにしました。腎精や陰血を補うことと、血熱を冷ますことを目的に、瓊玉膏も併用しました。4ヶ月ほど経過し、悪化、緩解を繰り返していましたが、現在は赤み、痒みも落ち着き、ゴワゴワしていた皮膚も柔らかくなってきました。さらに落ち着いたら、「本治」に集中した治療に切り替えようと思っています。
 「標治」と「本治」は患者さんの症状に合わせて、段階的に、或いは併行して行います。どのような場合でも、漢方治療において、最も重要なことは、「アトピーには、○○湯」と決めつけずに、皮膚症状や個々の体質をしっかり把握し、段階に応じて、きちんと判断して的確な漢方薬をセレクトすることです。

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