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薬剤師・国際中医師 大串 一稔

漢方薬シリーズ その165 「耳鳴」

 耳鳴とは、実際には音がしていないのにもかかわらず、何かが聞こえるように感じる現象をいいます。漢方では、耳は臓腑でいうと特に肝胆、脾胃、腎と関連が深いといわれ、耳鳴は、ストレスや過労、老化、食事などの不摂生、身体虚弱、発熱性疾患、上気道炎などが原因とされています。

 43才の女性、「10日ほど前に、強いストレスを受け、その翌日から、キーンとした大きな耳鳴を発症。耳塞感を伴う。耳をおさえると少し小さくなる。起床時とお仕事後の夕方に悪化しやすい。夕方から夜にかけて、頭痛がすることも多い。肩こり、腰痛がある。夜間尿2回。」との事でした。

 「肝陽上亢」に「湿痰」「腎陽虚」を伴うと判断し、腎気丸と釣藤散を服用していただくことにしました。ストレスも強く、耳塞感もあるため、牛黄清心元も併用しました。2週間ほどで、耳鳴の音が小さくなり、頭痛は、起きなくなりました。現在、2ヶ月ほど経過していますが、耳鳴の音は、静かな時しかわからない程度になっています。

 一般的に、漢方では、「突然発症し、音が大きく、耳をおさえても軽減しない。」場合を実証とし、代表的なものとして、ストレスなどの精神刺激による「肝気鬱結」「肝火上炎」、飲食の不摂生などによる「痰濁上擾」などがみられます。一方、「徐々に発症し、音はセミが鳴くようで小さく、耳をおさえると軽減する。」場合を虚証とし、代表的なものとして、胃腸が弱いことによる「脾胃虚弱」、過労や老化などによる「気血両虚」「腎精虚損」などがみられます。両方のパターンが混合した虚実挾雑といわれるものには、「肝陽上亢」などがあり、耳鳴の長期化により血の流れが悪くなると「血瘀」を併発することもあります。その他にも、多くのパターンが存在するため、治療も千差万別です。耳鳴の発症時の状況、悪化条件、好転条件、随伴症状などから、きちんと判別し、その方に合った治療法及び漢方薬を決定することが治療のカギとなります。

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