197「頭が良くなる漢方薬?」
店頭で、ときどき、「先生、うちの子、勉強
しなくて困るのよ。頭が
良くなる漢方薬ってな
い?」と冗談まじりに
おっしゃる方がいます。
もちろん、勉強しないで成績が上がる漢方薬は
ありませんが、記憶力
や集中力を向上させる
漢方薬はあります。
漢方では、「腎は精を
蔵し、精は髄を生ず。」
といいます。
腎に蓄えられている
腎精から、髄が生成さ
れ、それが、骨髄、脊
髄、脳髄となり、骨や
脳を健康に保っていると考えています。過労や睡眠不足、老化など
で、腎精を消耗すると、足腰の怠さ、腰痛、関節痛、疲労倦怠
感、骨や歯の弱りなど
に加えて、記憶力、集中力の低下、耳鳴、目眩などを生じます。
一方、「脳は元神の
府である。」といわれ、脳の生理は心によ
って統括されているといわれています。心神
に栄養が足りなかった
り、頭を使いすぎて消耗すると、心神が不安定になり、こちらも記憶力、集中力の低下が
みられます。腎精を補うには、熟地黄、鹿角膠、鹿茸、肉蓯蓉などを、心神を安定させ、記憶力、集中力を上げるには、遠志、竜眼肉、酸棗仁などを使います。脳神経細胞保護作用を持つ羚羊角や
沈香、血流改善作用を持つサフランなども効果的です。受験生はもちろん、お仕事などで頭を使う方、最近、記憶力や集中力が落ちてきたと感じる方、認知症が心配な方などに、お薦めの漢方薬です。その方の体質によって、効果的な処方は異なります。詳しくは、お気軽にご相談下さい。