Aさんは、31
才の男性、知り合いの方に勧められて来局さ
れました。
「幼少期から、カゼ
をひきやすく、中学
生の頃には、改善していたが、社会人になり、再度、発症。毎月のように、感冒に罹り、微熱、頭痛、咽痛を繰り返す。食欲は正常だが、食後眠
くなり易い。軟便傾向。疲れやストレス、睡眠不足などにより発症しやすい。疲れやすく、手足が冷える。」とのことでした。 脾肺の陽気不足により、身体を護るバリア機能を担当している衛気が不足し、
気の防御作用が低下していると考えて、医王湯と真武湯を服
用していただくことにしました。その後、8ヶ月ほど、同じ処方を服用していただ
いていますが、カゼをひきかけたのは、一度だけ。それも一日で回復したそうです。軟便や倦怠感も改善し、顔色も良く、お元気そうです。
漢方では、カゼをひきやすいことを「易患感冒」といい、疾病
が発生する内在素因
は、正気(人体の抗病
能力や回復能力)の不
足であると考えてい
ます。正気が充実していれば、病邪(ウィ
ルスや細菌などをは
じめとする様々な発
病要因)は侵犯するこ
とができず、正気が不足することにより、初めて病邪が侵入し
疾病を引きおこします。つまり、感冒などの予防には、正気
を充実させることが大切です。
漢方では、これを「扶正」といいます。
個々の体質を漢方
的に判別し、その方
の不足している部分を補うことが必要で、特に「衛気」という身体を防御する働きの気が重要になります。
地図