尿路感染症のうち膀胱
に生じた細菌感染症のことを膀胱炎といいます。
経過の違いにより急性と慢性、基礎疾患の有無により単純性と複雑性に分類されます。また、細菌感染以外にも膀胱炎症
状を呈する疾患もあり
ます。急性単純性膀胱炎は、ほとんどの場合、大腸菌が尿道から膀胱に入
り込んで起こります。一方、慢性複雑性膀胱炎の場合、何らかの基礎疾患が原因となり、細菌が膀
胱内に侵入し、粘膜に炎症を起こすことが多くみ
られます。症状は、急性膀
胱炎とほとんど同じですが、軽い症状のことが多
く、自覚症状がない場合もあります。慢性膀胱炎の原因の70%を占めるのは大腸菌ではなく、その他の弱い細菌といわれていますが、大腸菌に比べて、抗菌剤が効きにくいため、繰り返しやすくなります。 80才のA子さん「以前より、膠原病を治療中。
膀胱炎の自覚症状は特にないが、検査では、尿中に細菌や血液が混じっている。疲れやすく、手足が冷える。寝つきが悪く、
夜中に目が覚める。食後眠くなることが多い。」という症状でした。
基礎疾患により、気血両虚、脾不統血を引き起こしていると考え、帰脾湯の煎じ薬を服用してい
ただき、様子を見ることにしました。三ヶ月ほど服用した後、病院の尿検査で正常になったといわ
れ、とても嬉しそうな声で
お電話をいただきました。
漢方では、膀胱炎の発生の仕組みとして、「湿熱
蘊結」「脾腎気虚」「肝鬱気滞」「寒湿阻滞」「血瘀」・・・
等々のパターンが在り、それぞれに適応した処方があります。
「膀胱炎だから○○湯」と病名から判断して服用しても、効果がみられることは、ほとんどありま
せん。他の疾患同様、症状や体質を漢方的に判断し、その方に合った漢方薬を服用することが、治
療の早道です。