206更年期の皮膚のかゆみ
更年期障害の代表的な症状は、「月経の不調、のぼせ、ホットフラッシュ、めまい、頭痛などの身体症状、イライラや不安感、意欲低下などの精
神神経症状」などですが、自律神経が失調するので、非常に多様で、これら以外にもさまざまな問題が生じることがあります。「皮膚が乾燥して、ひどくかさつく。」「皮膚の上を蟻がはうようなむずむずした感じがする。」などもその一つです。47
才のAさん。「毎月きちんと来ていたはずの月経の周期が不安定。それに伴い、夕刻になると赤い湿疹ができて、痒くなる。夜中に痒みで目が覚める。症状は、疲労時や月経前にひどくなりやすい。睡眠中の歯ぎしり。便通は良好だが、お腹が張りやすい。暑がりで汗をかきやすい。」とのこと。「肝腎陰虚」から「肝陰虚陽亢」となり、「血
熱」を生じ、そこにストレスによる「肝気鬱結」を伴っていると考え、滋水清肝飲の方意を考慮して、丹梔逍遙散と六味丸を服用していただくことにしました。更に精血を補う瓊玉膏も併用しました。1ヶ月半ほどで、痒みは軽減し、夜中に目が覚めることはなくなりました。月経は遅れ気味ですが、体調は良いようでお元気そうです。前述したように更年期障害の症状は、千差万別ですが、それらを漢方的なものさしで、きちんと分析することが、治療への第一歩です。ストレスの影響が大きい「肝気
鬱結」、イライラして顔がの
ぼせやすい「肝火上炎」、足腰がだるく手足がほてる「腎陰虚」、不安感が強くよく眠
れない「心脾両虚」、動悸や不眠が主体の「心腎不交」、喉元に何かがつかえる感じがする「気滞痰凝」……。当薬局で
は、大きく11のパターンに分類し、更に熟考して、五十ほどの処方を使い分けています。更年期は、その後の生活にも大きく影響する大切な時期です。漢方で快適にのりきりましょう。
