アトピー性皮膚炎は、アトピー素因や皮
膚バリア機能低下など
を背景に、アレルギー
性、非アレルギー性の炎症がおこる皮膚疾患です。痒みが強く、左右対称に発症しやすい特徴があり、増悪と寛解をくり返し、難治性の病態を形成することもあります。
漢方的には、正気
(気・血・津液・精・陰・陽)の不足をベースに、外感六淫、飲食の不摂生、
ストレス、過労、睡眠不足などの誘因・増悪因子が加わることにより、
発症或いは悪化すると考えています。
15才のAさん、「幼少期より乾燥肌で、1年ほど前から主に腕や脚に淡紅色の紅斑と痒みが発症、落屑、軽度の血痂を伴っている。以前から、やや疲れやすく、まれに立ちくらみなどがある。発症と同じ頃から月経不調。寒がりで手足は冷えるが、冷たい飲物を好む。」といった症状でした。血虚体質に肝気鬱結が加わり、生風していると考察し、当帰飲子と逍遙散を服用していただ
きました。1ヶ月ほどで改善が見え始め、現在では、症状は、ほとんど落ち着き、月経も安定しています。
漢方薬の卒業も間近だと思います。
アトピー性皮膚炎は、発症原因も増悪因子も多様で複雑であり、臨
機応変で細やかな対応が必要となります。漢方治療では、皮膚患部の状態、好発部位、悪化条件、随伴症状などが大変重要になります。